藝苑千禧

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『中国医生』(『アウトブレイク ~武漢奇跡の物語~』)

『中国医生』(Chinese Doctors)を見ました。劉偉強(アンドリュー・ラウ)監督の、武漢の医師たちのコロナとの戦いを描いた作品。これまた『長津湖』同様、中国共産党100周年記念の「勝利三部作」の一つ。
アウトブレイク武漢奇跡の物語~』というタイトルで日本でも2021年10月開催の「2021東京・中国映画週間」で上映されたようですが、私が見たのは現地版DVD。てっきり日本未公開だと思ってた。

 

2021年の中国映画。監督:劉偉強(アンドリュー・ラウ)、主演:張涵予(チャン・ハンユー) 、袁泉(ユアン・チュアン)、朱亞文(チュウ・ヤーウェン)、李晨(リー・チェン)。特邀出演:易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)、特別出演:欧豪(オウ・ハオ)

さてここで気になるのは「特邀出演」「特別出演」という表記の違い。
千璽は「特邀出演」、欧豪は「特別出演」。どう違うの?(「特邀(Te4 yao1)」とは「特別な招待」の意味)

調べたところ、両者には以下の区別があるようです。

「特邀出演」…やって欲しい役柄があって、特別にお願いして出てもらうこと。プロデューサーの肝入りで演技にたけた人が招かれる。
「特別出演」…どの役でもいいので興行に好影響を与えるスターに出てもらうこと。その知名度や人気による集客を期待して招かれる。

つまり、千璽は演技を欲されて配役されたというわけです(いやいや、もちろん人気も当て込んでるのに決まってるけど)。「忙しすぎる身でしょうからほんのわずかしか出てもらえないかもしれないがあなたの演技が必要なのでお願いしたい」、ということでしょう。素晴らしいねぇ。
欧豪は、すごく人気があるのでしょうね。彼は『長津湖』でも「友情出演」で出ていたんですよ。その出番(?)というか出演シーンが、なんだか不思議で、印象的だったの。唐突に出てきて画面を独り占めして、唐突に消えるという(まるで『欲望の翼』のトニー・レオン並みに唐突だった)謎の役を演じておりました。
一目瞭然で「ああ、この子、人気あるんだろうな」って気づく使われ方。きっと、かなり数字を持った人なのね。この『中国医生』でも、特別大事にされてるし。

こちら↓が欧豪。

 

『長津湖』って言えば、『中国医生』のポスター見てびっくりよ。

ここにいる男性全員『長津湖』出演者じゃないですか!
もしかしてここらあたりはいわゆる「お国にひときわ大事にされている俳優」というやつなんでしょうか?千璽…は、当然そうなのよねぇ…。
さんざん『長津湖』見てきたあとなので、皆さんが兵士だった時の印象が消えてなくて、なかなかこっちの作品世界に入れませんでした(汗)。

 

「火力排長(李晨)と指導員(朱亞文)がイチャイチャしてる~」とか

 

「万里(千璽)、梅生(朱亞文)にローストチキンもらったのね」とか

 

「梅生(朱亞文)と志願軍副司令員(張涵予)は医者になってもタバコ吸ってんのか」などと…

ついつい『長津湖』キャラで見てしまうのよ。なんだか長津湖でいなくなったはずの彼らがそこにいるようで妙に愛おしくて。←倒錯しとる。『長津湖』、強烈すぎて引きずっちゃってるのよ…。
って、早く本題に入らねば(汗)。

 

この映画、全体的にドキュメンタリー…というか、TVでよくやってる、ドキュメンタリーに再現ドラマがついてるやつみたいな感じの作品でした。実際の映像も時々織り込みながら、臨場感を上げてゆく。
方艙医院(臨時医療施設)の建設などの場面では、見ているこちらも当時を思い出し、あの頃の不安感が蘇ります。

なにせ当時は「武漢では街を歩いている人が突然倒れて死んでしまう」みたいな話がまことしやかに流れてきてましたからね。
目に見えない恐ろしい敵(ウィルス)の怖さ、パニックになる市民たち、疲弊してゆく医療現場…。実際にあった当時の現場の混乱した様子がそのまま描かれている。作り物っぽいドラマは入る余地がない。
市民代表…みたいな感じで、焦点を当てるキャラとして、妊婦とその夫(欧豪が演じている)の家族の様子がクローズアップされているのが唯一物語的な部分ですかね。この家族のハッピーエンドは武漢の戦いでの勝利の象徴として印象付けられます。
こういった「個人の物語」が入っていると、感情移入しやすいけれど、途中、ちょっとこの部分に焦点が絞られすぎてた気も無きにしも非ず。

いずれにせよ、当時(コロナパンデミック時)の武漢の医師たちがどれだけ奮闘したかは十分に伝わってきました。
これもまたある種の戦争で、ドンパチの戦争より身近な分、いたたまれない。
現場の描写がかなりキツいのに面食らいます。リアリズムの徹底なのだろうか、描写に容赦がない。血がビューーッ、内臓がどわーみたいなシーンがやたら多くて、メンタルヨワヨワの私には直視できませんでした。
「眼を覆って画面から逃げた」割合を言えば、『長津湖』と大差をつけてこっちの勝ち。手術シーンはほぼ見てない(見る胆力が私に無かった)。

出演者は終始マスクをつけているので、身体の動きと目の表情で演技しなければならないのだけれど、そこはもう現場は大忙しで動いているので単調な画面にならずに済んでいます。
時折、マスクを外すと、みんな頬が傷だらけなんですよ。マスクで擦れて、痣になってしまっているの。
これにはグッときちゃいました。自分の身を削って戦っている象徴の傷、です。頬に傷を作り、家族とも会えず、カップラーメンをすすりながら、一日2時間しか眠らずに働く医療現場はまさに戦場。

 

さて、千璽ですが。
研修医:楊小羊の役で出ています。「小羊」という名が実に可愛い。
まだまだひよっこで、ベテランの文医師(袁泉)に、頭をパコーンと叩かれて、「学点好(まじめにやれよ~)」なんて言われているうちは平和だった…
そのあと、急遽、陶医師(朱亞文)の独断でコロナ病棟のICUに配属され、必死で人工呼吸器の付け方などを練習していたのだけど、ついに本人もコロナに罹患。
街で罹患者に声をかけられ、バイクに乗せてあげたことで自分も罹患してしまったのでした。
「なんでそんなことをしたの」と文医師に責められた時、小羊くんは「その人が自分の母親に似てたから」と言うのです。小羊くんは「媽宝(マザコン)」なのかもな…。
そういえば、小羊くんが医局で食事している時、ママからビデオ通話が来てました。

ママはもの凄く心配してた。
「危ないところに配属されないようにして!」
「大丈夫だよ、ボクがいるのは一般病棟だから」
…なーんて会話があったのに、コロナ病棟のICUに配置転換されちゃってるし。

ちなみにビデオ通話のママ役は劉琳(リュウ・リン)。ベテラン女優さんです。劉琳といえば…

昔懐かしの『夜半歌聲 逢いたくて、逢えなくて』(なんじゃろうなぁこの邦題…)に出演しておりました(画像左から、レスリー・チャン、劉琳、黄磊、呉倩蓮)。彼女はこの時、21歳ですって。
黄磊が若い。ってか細い!この時の黄磊、可愛かったんだよー。
そういえば呉倩蓮ってどうしているんだろう?最近見ないな…と思って調べたところ、2007年に一般男性(アメリカの製薬会社に勤務)と結婚し、2011年時点では2歳のお子さんがいるとのこと。今は家庭に専念しているようです。

閑話休題
小羊くんの話に戻ります。
コロナに罹患してしまった小羊くん。ようやくマスクなしで出てきたと思ったら、すでにECMO(エクモ)をつけられて呼吸さえままならない状態になっておりました(涙)。あまりにも痛々しい。
張医院長に「肺を交換する手術は難しいのはわかっているよね」「私が全力で挑むから」と言われ、まるで遺言のように「ママにごめんなさいと伝えてください…」と涙を流す小羊くん。
以降、小羊くんの手術の結果がどうなったかも知らされぬまま映画も大団円を迎えるに至ります。てっきりダメだったと思っていた欧豪のとこの夫婦も、赤ちゃんと一緒に散歩をするまでに快復。文医師も長らく離れ離れだった娘とお出かけできるようになりました。コロナはひとまず終息に向かい、方艙医院は撤去され、武漢の封鎖も解かれ、街には活気が戻ってきた。
で?
小羊くんはどうなったの?まさかこのまま回収もせずに終わるってこたないよね?早く彼の行く末を教えてよぅぅ…(涙)と不安になりつつ見ていると、最後に車椅子に乗った姿でやっと登場いたしました!(この時、医院長が車椅子を押しているのだけれど、雑なんだわ!動きが速い。キャリーカートでモノを運んでるみたいな速さ。そのヒト病人なんすけどーー)
ということで、とりあえずホッと一安心。
さんざんヤキモキした分、どっと肩の荷が下りたような気分で終わる、というね。ゲインロス効果ってやつ?
またもや「易烊千璽のファンを最後まで引き付けとこう作戦」に、まんまと引っかかった感じ。遊ばれておりますよ、ええ。

 

千璽絡みのポスターいくつか貼っておきます。

千璽単独。これ、めっちゃカッコイイな!

 

ちょっと細めの縦長パターン。

 

千璽だらけのファン向けポスター。

 

張學友が歌うイメージソング「等風雨経過」をどぞー。名場面集になってます。


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